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小林聡美とかもたいまさことか市川実日子…

小林聡美とかもたいまさことか市川実日子とか、そのへんの人たちが出てる一連の作品シリーズを何て呼んでいいのか分かりませんが、好きです。

TVドラマのすいかでそのワールドを世に知らしめて、かもめ食堂、めがね、でその地位を不動のものにしたという感じではないでしょうか。

正直、それ以降の他の作品は上記の3つに比べるとだいぶと見劣りがすると思います。

がしかし、もはやそんなこと関係ないくらいに、このメンバーによる世界ならなんでもいいというファンの方は多いのではないでしょうか?

作品によって監督やキャストやスタッフがちょこちょこ入れ替わってはおりますが、大凡の雰囲気は同じです。

お馴染みのキャストを上げていくと、小林聡美、もたいまさこ、市川実日子、光石研、加瀬亮…てな感じですかね。

光石さんは、一見、なぜここに?と思われるかも知れませんが、この人の自宅を見れば分かります。すごくスールキートス的な感じのご自宅です。あと少し性格がかわいいですねこの人。

ちなみに最近はもう片桐はいりは使わないんですかね、私個人的には、小林聡美、もたいまさこと同じく、必要不可欠なメンバーの一人だと思うんですが。

小林聡美、もたいまさこ、片桐はいりで、孤高の世界が出来上がっております。たしかな演技力と存在感、そして独特のベクトルのガーリーさ、これらを併せ持つ彼女らの三つ巴は見ていて飽きませんし、どこまでも続いていきそうな深淵も見えます。

それはかもめ食堂で爆発しておりますね。

この完成された3人にはまず手を加える余地はないかのように思っていましたが…あったんですね、それが市川実日子です。

いわゆるモデル出身系の役者で、銀幕デビューから、とらばいゆやblue(魚喃キリコ原作)などのセンスのいい作品にも恵まれ、すいかでその個性を炸裂させました。

すいかでは、豪華で個性的なベテラン役者陣に一歩も引けを取らない存在感を醸し出しております。

彼女は、同じく存在感の強いモデル出身系役者の姉・市川実和子に引っ張られて銀幕に来たわけですが、姉の成し遂げられなかった、シュールガーリー四天王へのメンバー入りを果たしたのです(姉が成し遂げたかったかどうかは知りませんが。ちなみに姉は姉で存在感のあるいい役者さんです。内に秘めたる自己主張、静かなる狂気。正当に見ればこっちの方が女子っぽいといえますね)。妹の市川実日子は、若い異ベクトルガーリーを肌でにおわしその精神性もにおわすということをした点において抜きに出たといえ、またそれが三天王になかったものだったので目出度くメンバー入りと相成ったわけです。

しかし、ここでこの軍団の成長は止まることはなく、若い男子の枠としては加瀬亮、もっと若い女性の枠として伽奈がそれぞれ君臨していきました。

浅野忠信の付き人として銀幕の世界に入った加瀬亮は、めがね出演の頃には、演技に若干の窪塚的なニュアンスがあって、『これはこのメンバーの中でどうなんかな』と思っていたものですが、プール、マザーウォーター、パンとスープと猫日和、これらではTHE草食系男子を演じきり、見事シリーズになくてはならない存在となりました。

次に伽奈ですが、これがなかなかにして侮り難いんです。

市川姉妹の成功を皮切りに、その枠を狙う若いモデル系女優がわんさと出てきたわけなんですが、そのどれもがイマイチ板につかないんですね。

勿論個性派が増えてきた昨今のセンスのいいモデルの業界で名を馳せてから登場するわけですから、見た目の存在感は抜群です。特にファッション性や着こなしについてはそんじょそこらの俳優では太刀打ち出来ない状態であるといえます。

しかしながら、なんとなくのムーブメントの域を出ることが出来ないのが現状なんです。

何か足りないのです。

そんな中登場したのが伽奈です。

アクの強い市川実日子と対照的に、彼女には一切のアクが無い。主張も無い。

そして、市川実日子のいい意味での素人くささを遥かに上回る素人くささ。

でもそれはもちろんスクリーン上にいるべきではない素人くささではありません。

この人にとっては銀幕も家の茶の間も変わらないんだと思います。

たとえば、毎日カレーしか食べてなくて、友達は特にいないマイペースな売れないバンドマンっていますよね、この人はそれに似ていると思います。

気が弱くて引っ込み思案であるけれども頑固。おとなしいんだけれども譲らないところは譲らない。挙動不審な喋り方をするが本人はいたって楽しそう。そんな感じです。

まぁ世間にはちょくちょくいる人間ではありますが、銀幕にはいなかったので採用、無事君臨されました。

そんなこんなで軍団は、どんなストーリーにも対応出来るだけのメンバーは揃ったわけですが、悲しいことに、その全員が一同に会することはないようです。

その中から数人を組み合わせる、とかもしくは単体を主役に起用するといった使い方をするようです。

飽きがこないようにとの考えもあるでしょうが、それ以上に色々な大人の事情があるのかもしれません。

市川実日子と加瀬亮は元カノと元彼になったから共演しにくいとか。

でも、いつの日かさんま大竹しのぶみたいに、仕事の上での共演はして欲しいものです。

僕はいつも、小林聡美、もたいまさこ、片桐はいり、市川実日子、加瀬亮、伽奈(光石さんはどっちでもいいや)、この6人が同時に出演することを夢見ています。あと出来ればエリッヒ・フォン・シュトロハイムにゲスト出演して欲しいです(もうこの世を去られましたが)。

なんにしろ、スタッフを含めてこの軍団の作品の良さというものは、その単体の作品の良さというものも勿論ありますが、それ以上にシリーズ全体、一連の作品群全体の良さというものがあります。

なんとなくシュールで、なんとなくガーリーで、そして、なんとなく幸せそう。

いや、すごく幸せそうです。

一言でいうと、癒されます。

普通映画っていうのは、なんか余裕が無いくらいにみんな切羽詰っていて、緊迫しているもんだと思うんですが、この人たちにはそれがない。

あと、作り物とは分かっていても、なんかそのキャストやスタッフ達の裏側のリアルなしがらみとか社会の図式みたいなものが目に映るものだと思います。

でもそんなものが見えてこないんですね。

本当は色々あるのかもしれませんが、いや、きっとあるんでしょう。

でも、案外にこの人たちには本当にそういものがなんにもないのかもしれない。

…。

そういう気に本気でさせてしまうところにこの作品群の良さというものがあるのです。

(文・しろうべえ)2016/02/14

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